空間的狼少年

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Menschen fresser 


その世界には魔物と呼ばれる、人ならざる生き物が存在していた。
それらは出くわせば人々に危害を加える、邪悪なる存在であった。
しかし今生きている人間たちのほとんどが、実際に魔物を見たことがない者ばかりであった。
魔物とはすでに伝説的な生き物であり、めったに人間の前に姿を現さなくなっていたのである。
だから、人間は魔物にどう抵抗すればいいのかを忘れてしまった。
数百年のあいだ魔物は森の奥深くや渓谷、砂漠など人が容易には立ち入れない場所にのみ生息していた。
それが近年、人間の前に自ら現れるようになったのだ。
気象の問題だとかただ場所を移動しているだけだとか色々な噂が飛んだが、そのどれもが本当ではなかった。
数ヶ月前、この王国の城下町に一匹の魔物が現れた。
人々は最初、それが本物の魔物だと気づかなかった。
豚のような顔をした、大柄な大人のような背格好で、服を着て、人間の言葉をしゃべった。
すぐに憲兵に捕らえられたが、その魔物は一切抵抗もせず、人間に襲い掛かることもしなかった。
ただ一言、王に会わせて欲しいと願い出た。
魔物は強固な檻に閉じ込められ憲兵に囲まれたまま、王のもとへ連れて行かれた。
危険だという声もあったが、王はこの世界でも有力な魔術師のひとりである。
側近を従え魔物の話を聞くと、なんとこの世界に魔物の王が出現したと言う。
魔物の全てはその王に従い、これから人間を滅ぼすと、そう宣言しに来たのだった。
魔物の言い分としては、本当は王になど従いたくはなく、これまで同様に人間と関わらず生きていきたいのであるが、王は絶大な
力を持っているため、従わざるを得ないらしい。
王は悩んだが、仕方なく戦争を決断した。
長らく平和が続いた王国は不穏の空気に包まれた。
その魔物は今は危害を加える気はなく、ただ伝言を伝えに来ただけだというので、厳重に警備をしつつ外へ逃がした。
王は悩んだ。魔物との戦いというものを、誰も知らぬのだ。
最後に魔物と交戦した記録はもう200年も前にさかのぼる。
とにかく軍を大きくして魔物との戦いに挑んだが、惨敗だった。
こちらの軍が1000の兵を用意したのに対し、魔物はその10倍の数をそろえていた。
さらに魔物には剣も銃も弓も効果がなく、硬い爪や牙や角になぎ倒されるばかりであった。
こんなはずではなかったと王は嘆いた。
文献によれば魔物は群れを作っても数は100が限度で、戦闘能力は大型の肉食獣程度のはずだった。
それがどうしてこんなにも恐ろしい存在になってしまったのか。
中には武器を手にする魔物もいたという。
知能まで人間並みになっているということだ。
勝ち目はなかった。人々は絶望し、家に引きこもるようになった。
まだ一般人が襲われたという報告はないが、時間の問題だった。
生き残った数人の兵が、瀕死の状態で母国へ魔王の伝言を持ち帰った。
それは人間たちが魔物に降伏するならば、戦争を終えてやってもいい、しかしその代わりに人間は魔物の奴隷になってもらう、
という旨であった。
冗談じゃないと人々は憤慨したが、このままでは人間は敗北し、無条件降伏を余儀なくされるであろう。
この王国は山に囲まれ、旅人や観光に来る人はめったにいないが、交易は盛んだった。
多くの国と良好な関係を築いている。
王は悩んだ末、迷惑をかけることを承知で一番付き合いの長い国の王に救いを求めた。
するとその王はなぜもっと早く助けを求めないのかと怒り、すぐに応援を出してくれた。
多くの物資と兵に王は泣いて喜んだが、その中でも最も話題となったのは、絶大な力を持つ魔術師の双子であった。
その双子は歴史上最も強い魔術師であるとされ、これまでその力の強さゆえに存在を隠されてきた。
しかし魔王の登場は世界の危機と判断し、魔王討伐に赴いたのであった。
双子の名はファイとユゥイといい、金の髪に蒼い瞳を持つ青年だった。
彼らは王国に着くとすぐに人々の前に立ち、皆さんを恐怖から救ってみせましょうと宣言してみせた。
引きこもりがちだった女子供は特に喜び、双子の周りに集まった。
絶大な魔力を持つ二人がそろえば魔王なんてすぐに倒せてしまうでしょうと皆安心した。
そしてその頃ちょうど、魔王の住処が森を越えた向こうにあると判明し、出発の日が決まった。
最初は多くの軍を率いての出撃の予定だったが、それでは魔物を呼び寄せてしまうと兄であるファイは反対した。
一人で行きます、とファイは会議で手を挙げた。
それこそ猛反対されたが、音と気配を消す魔法があれば魔物と出くわさずにすむとファイは主張した。
被害はできるだけ少ないほうがいいし、大勢での戦いは慣れていない、音と気配も数人分しか消せないし、とファイは笑ってみせた。
弟のユゥイも一緒に行くと言ったが、ファイは一人でいくと譲らなかった。
もし自分が帰ってこなかったら、今度は兵を率いて攻めて欲しいと。
その会議は3日続き、そして結局ファイが一人で魔王を倒すことが決まった。
その一週間後、ファイは森の入り口まで馬車に乗せてもらい、そこからひとりで暗い森へ足を踏み入れた。



「暗いし、じめじめしてて、やなとこだなー」

気配と音と、さらににおいを消したファイはそっと呟いて隣を魔物が通り過ぎていくのを見つめた。
基本的に魔物は目が悪いらしく、気配も音もにおいも察知できなければ襲ってこない。
ファイは鎧も兜も身につけず、青を基調とした民族的な衣装の上にマントを羽織っただけの軽装で森を歩いていた。
変な鳥がこちらを窺っているように思えたが、変な羽を羽ばたかせて飛んでいった。

「うーん、魔王ってどんなのかなー。ドラゴンとか? 
 まぁでも、どうせたいしたことないよね。ちゃちゃーっと倒して早く帰ろうっと」

このとき、すでにファイの敗北は決まっていた。
ファイは会議ではまじめな顔で大丈夫です、信じてくださいと何度も繰り返し軍師を説得したが、大丈夫というのは、
たぶん大丈夫という程度の見込みであった。
ファイはあまりにも自分の力を過信していたため、負けることなど考えてもいなかった。
実際、ファイよりも強い魔力の持ち主はいない。
しかし魔王はファイの、そして軍師の想定とは全く異なった思考の持ち主だった。

「大軍なんていらないんだよー。オレひとりで十分。今夜中には帰れるかなー」

湿った土を踏み森を進むと、恐ろしい顔をした魔物がうろつくようになった。
ファイには気づいていないようだが、何かを探すようなそぶりをしている。

「もしかして、オレが来るってことばれちゃってるのかなー」

ファイの、軍師の最大の過ちは、魔物の王は魔物であると勝手に思い込んでいたことであった。
魔王の情報が全くないにも関わらず、魔王はほかの魔物と同じく人間と異なる下等な存在であると、そう決め付けてしまった。

「あ、あれが魔王の住処かな?」

ファイは賢い人間であるために見くびっていたのである、魔物なんて低脳で野蛮で、劣った生物だと。
ファイは大きな神殿の前で深呼吸して、扉に手をかけた。
そっと開けてみると中は暗く、埃っぽい臭いがするばかりで何の気配もない。

「おじゃましまーす」

鉄でできた重い扉を押して開けると、ぎぃと重い音がした。
そこでファイは心臓が凍りつくのを感じた。
どうして音がしたのだろう。
魔法の効果が消えてしまったことに気づき身を引こうとしたが、内側の両脇から現れた大きな毛むくじゃらの魔物に腕をつかまれた。
とっさに攻撃魔法のスペルを描こうとするが、その瞬間指から火花が飛び、スペルを拒まれた。
防除魔術だ、しかしファイの魔法は多様である。
口笛を鳴らしバリアを張ろうとしたが、これも無効化された。
2匹の魔物はぐるぐると笑うような声を上げると、ファイを引きずって中央の階段へ連れて行く。
その間にもファイはあらゆる魔法を試したが、どれも弾かれてしまった。
冷や汗がこめかみを伝い、心拍数があがる。
絶望的な気持ちで暗い階段を上らされた。
ファイは魔法以外に戦う術を持たない。
隙を見て逃げなければ、と周りを窺うと、階段を上りきった真ん中に、魔物ではない気配を感じた。

「たったひとりで攻め込んでくるなんて、相当のバカらしいな」

そこだけ小さな明かりが灯されている。
魔物に首をつかまれ膝をつかされ、降ってきた低い声を見上げると、赤い瞳が見えた。

「……魔王?」

「相当の魔力を持ってるとは聞いていたが、使えない魔力はゴミ同然だ」

人間と魔物の気配は全く違っている。
魔物の気配はおぞましく、危機を感じるものであるが、見上げたこの男からはそれが感じられない。

「まさか……君は、人間……?」

羽織っていたマントが魔物によって剥ぎ取られた。
ファイを見下ろす男が魔物に下がれと命ずると、魔物はおとなしく階段を下りていった。
押さえる手がなくなってもファイは立ち上がることができずにいた。

「どうして……人間がどうして魔物を……?」

「ふぅん、まぁ、いいだろう」

ファイの顔をじっくりと眺めた男が舌なめずりをした。
邪悪な顔をしているし、話は通じないが、この男は確かに人間だ。
黒く重々しい衣装に身を包んだいかつい風貌は、魔王と言えなくもないが、魔物が人間に従うなんてありえない話だ。

「どうして、人間が魔王なんかに……」

「強いからだよ」

あざ笑うように魔王である男が言った。
ファイは歯を食いしばると、男に向かって殴りかかった。
しかしその手が届く前にファイは蹴り飛ばされた。

「魔法しか取り柄のねぇ人間が、無駄なことしてんじゃねぇよ」

悔しかったが、ファイは男から距離が取れたのをいいことにそのまま階段を駆け下りようとした。
が、その前に男に捕らえられ、腕を後ろできつく縛られてしまった。
何度も魔法を試したが、どれも効果はなく、そのたびに男は余裕たっぷりに笑い声を上げた。

「オレをどうするの」

冷たい床に這いつくばらされ、ファイは軽蔑の目で男を見上げた。

「そうだな、てめぇがあの魔物みてぇな顔だったら殺してたところだが」

大きな手がファイの頭をつかみ、顔を上げさせられる。

「なかなか、楽しめそうだな」

静かな神殿は男の声だけを強調させていた。



中途半端に脱がされた服が余計にファイを屈辱的な気分にさせた。
ズボンは膝まで下げられたが、上は適当にボタンを外されただけだった。
膝を立ててうつぶせになるファイの後ろで、男がファイの尻を撫で回していた。

「こんなことして、なんになるの……ッ!」

首だけを後ろにむけて抗議すると、男はやはり馬鹿にしたように笑う。

「別に、なんにもならねぇよ。ただ楽しめればいいんだからな」

「そんな理由で魔物を……あっ!」

人間にけしかけたのか、と言おうとしたところで足が大きく開かれ、中心をさらされた。
他人はもちろんのこと自分でさえも見たことがない場所を、倒すべき相手がじろじろと観察している。
抵抗が無駄であることは痛いほど理解させられたが、無抵抗でいることもできない。
身をよじって視線から逃れようとするも、少しも逃れることはできなかった。

「人間なんて弱い奴らばかりだからな、魔物の方がましなくらいだ」

聞きたいことはたくさんあった。
なぜ魔物が人間に従うのか、なぜ魔物を従わせることができたのか、なぜここまでファイの魔法を防ぐことができたのか。
しかしこんな状況では満足に言葉も発せない。
この神殿から出ることができさえすれば、助けを呼ぶための魔法が使えるのにと扉に目をやったとき、開かれた尻の中心に
冷たい感触を感じた。

「な、にして……」

もう一度振り向くと、自分の足の間に男が顔を寄せているのが見えた。
穴を舐められていると理解して、必死で逃れようと芋虫のように体をくねらせた。

「やめて……こんな、あぁっ、やめろ……!」

叫んでも自分の声が響くばかりで何も返ってこない。
代わりに男の舌が奥まで入り込んでこようとして、とうとう涙をこぼした。
しばし舌を埋め込み続けていた男はようやく顔を上げ、ファイに覆いかぶさった。
顔の横に置かれた手の大きさに、ファイは勝ち目がないことを再び実感した。

「どうだ、気分は」

「最低だよ……」

そうか、と言うと今度は指を中に入れてきた。
太い指が体内でうごめき、内壁をこすりあげた。
男が舐めたせいでじゅくじゅくと音がして、せめて音を消す魔法だけでも使わせて欲しいと思った。
何度か抜き差しされ、指を増やされ、これから起きることが十分に予想できた頃には、もうファイの精神は壊れかかっていた。
ファイは自国を出る前に、ある少女と約束をした。
さくらという名前の幼い少女で、ファイの住む王国の姫君だった。
彼女は優しく聡明で、幼馴染の少年に恋心を抱く、かわいい少女だった。
さくらはファイによく懐き、魔法を見せてとしょっちゅうせがんでいた。
ファイが国を出る日、ファイとユゥイはさくらに必ず帰ってくると約束した。
心配して泣いているさくらの涙をぬぐって、平和を携えて帰ってくると。
けれど、約束を守ってやれそうにない。
ごめんね、と呟くと男が何か言ったかとファイの髪を引っ張った。
指を3本飲み込んだ穴は異物を拒もうとする一方で、引き込もうとする動きも見られた。
意識してできることではないだけにファイを諦めへ追いやった。

「こんなことして、楽しいの?」

ぼやけ始めた視界で男を見ると、彼は当然と口角を上げた。

「毎日毎日、あんな魔物ばっか見てるからな」

顎で階下の魔物を示し、男はファイの腰をつかんだ。
無駄だとわかっていても、いやだと叫ばずにはいられなかった。
男はそんな声などなかったようにファイの性器をつかんだ。

「なんだ、勃ってねぇな」

当たり前だ、と言葉にする前に、男の硬いものが当てられ息を呑んだ。

「痛いだろうからな、せいぜい悲鳴あげてろ」

覚悟はしていたが、一気に突き入れられてファイは悲鳴を上げることもできなかった。
嫌な汗が落ち、目を見開いて震えるばかりだった。
体内に深く埋めこめられた肉棒はファイの体など道具でしかないとでも言うように労わりも気遣いもなく激しく出入りした。

「あぐっ……う、あ、あ、あ……!」

いっそ悲鳴をあげてしまいたいのに、それすら許されない痛みと圧迫だった。
耐え切れず額を床に強くこすりつけるが痛みはまぎれず、そのままファイを苦しめた。
殺してくれと思った。それほどの苦痛だった。
男が笑っているのがわかった。
ファイもいつも笑顔を絶やさないが、このときばかりは笑顔を憎んだ。
時間の経過だけを望み、でもできることなら、巻き戻って欲しかった。
けれど男の荒い息遣いと肉が触れ合う音と、自分のにぎり潰したような声が繰り返されるばかりだった。
不意に弟の顔が脳裏をよぎった。
2日間、何の知らせもなく帰ってこなかったら、兵を率いて攻め込むから。
ユゥイは確かそう言っていた。
大丈夫だ、2日耐えればいいとファイは自分を勇気付けた。
それまで命を保っていられるかわからないが、大丈夫、大丈夫と言い聞かせた。
何度目かの大丈夫のあとで、男の動きが止まった。
かと思うと腹の中に熱い精液を流し込まれ、その感覚に身震いした。
後悔と屈辱と絶望が、わずかな希望を侵食し始めていた。

「まだ終わってねぇぞ」

目を閉じたファイの頬を男が軽くたたいた。
大丈夫、ぜったい、大丈夫。
きっとさくらとの約束も守ってあげられる、そしたらおいしい紅茶とケーキでささやかなパーティーをしよう。
大丈夫、だいじょうぶ…………

続く
リクエストの「魔王的な存在の黒鋼が、双子の魔法使いのファイとユゥイを返り討ちにして監禁調教するお話。 黒ファイ+黒ユゥイのぬちょぬちょぐちょぐちょの3Pエロ」でした。
後編でユゥイが参戦します。