空間的狼少年

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5日目に和菓子


1日目、博麗神社に遊びに行ったら、巫女は穏やかに落ち葉を集めていた。
木々に囲まれているせいで、いつも神社は葉っぱでいっぱいだ。
掃除しながらでもいいからと思って話しかけると、思いのほか優しい態度で接してくれた。
巫女は参拝客以外を邪険に扱うことがあるのだ。
そこで調子に乗ってお酒を勧めたり次の宴会の予定を聞いたりしていたら、とうとう「邪魔!」と
追い出されてしまった。
私はおとなしく帰るしかなかった。


2日目、再び博麗神社に遊びにいったら、巫女は黒い魔女と弾幕で遊んでいた。
一瞬本気で喧嘩してるのかと心配したけど二人とも笑ってた。
私も混ぜてもらおうと一歩足を踏み出したところで、すぐに引っ込めた。
二人はとっても楽しそうだったから。
私はちょっと寂しい気分で帰った。


3日目、博麗神社には誰もいなかった。
参拝客はもとからいないけど、巫女の姿もどこにもなかった。
枯れ葉の溜まった神社はもうずっと昔から誰もいなかったようにも思えた。
けれどからっぽのお賽銭箱はきれいなままだから、少し安心する。
私は何も考えないように帰った。


4日目、博麗神社で巫女は何かの修行をしていた。
私が嬉しくなって駆け寄ると、静かにしててねと釘を刺された。
でもやっぱり気になって何の修行なの? 大変? 疲れた? お酒あげようか? なんて言ってたら
「うるさい!」って怒られた。
悪いのは私だから、目を閉じて瞑想している巫女に謝ると巫女はため息をついた。
何しに来たの、用がないなら今日は帰ってくれる?
そう言われて私は罪悪感に襲われて、その場を逃げ出した。
私は悲しい気持ちで帰った。


5日目、博麗神社で巫女はお茶を飲んでいた。
昨日のことを謝りにきたけど、言い出しにくくて木陰に隠れていたら見つかった。
どうしたの、そんなところで。こっちに来なさいよ。
昨日とは全然違う笑顔で招いてくれたから私はひょこひょこと巫女の隣に座った。
お菓子あるわよ、食べる?
私が無言でいたら巫女は頭を撫でてくれて、私は顔をあげた。
ごめんね、昨日、邪魔して。
そう言うと巫女はからからと笑って許してくれた。
私の方こそごめんねってお茶と和菓子を出してくれた。
あまいお饅頭はとてもおいしくて、私は嬉しくなった。
だけどちょっと不安になって私は尋ねる。
私のこと、嫌いじゃない?
すると巫女は驚いた顔で否定した。
別にあんたのことが嫌いだから追い出したわけじゃないわよ。
日が射して暖かくなって、私もあたたかな気持ちになった。

End