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だから私を抱きしめなさい! 「笹塚刑事、人は終焉を異常なほど恐れるものですが、あなたもそうですか?」 からんと鳴った、空き缶の捨てられる音。 「俺は…そんなに恐れてはないけど」 カラスがかぁと一つ鳴いて、飛び立った。 「少しは怖いですか?」 どうして私以外の女と歩いているの、と癇癪を起こす見知らぬ少女の嫉妬。 「まぁ、そりゃあね」 日本はどうなって行くんでしょうね、というサラリーマンの思いつきの呟き。 「ならば、1日の全ての時間を大切に生きないといけないらしいですよ」 道路の隅で明日を待つ土だけの花壇。 「アンタに言われなくても分かってるよ」 弱い力の電灯と、その下に集った学生。 「でも僕はそんなことが言いたいのではありません」 遠くから聞こえるストリートミュージシャンの未来永劫。 「じゃあ、何?」 降りしきる今日の出来事。 「隣に僕がいるんですから、早く抱きしめなさいって言ってるんですよ!」 さよなら太陽、また明日。 「わかりづれぇよ…」 全部、日常、楽しかったからもう一度! End