空間的狼少年

http://acceso.namidaame.com/

Main

	

だから私を抱きしめなさい!


「笹塚刑事、人は終焉を異常なほど恐れるものですが、あなたもそうですか?」
 
からんと鳴った、空き缶の捨てられる音。
 
「俺は…そんなに恐れてはないけど」
 
カラスがかぁと一つ鳴いて、飛び立った。
 
「少しは怖いですか?」
 
どうして私以外の女と歩いているの、と癇癪を起こす見知らぬ少女の嫉妬。
 
「まぁ、そりゃあね」
 
日本はどうなって行くんでしょうね、というサラリーマンの思いつきの呟き。
 
「ならば、1日の全ての時間を大切に生きないといけないらしいですよ」
 
道路の隅で明日を待つ土だけの花壇。
 
「アンタに言われなくても分かってるよ」
 
弱い力の電灯と、その下に集った学生。
 
「でも僕はそんなことが言いたいのではありません」
 
遠くから聞こえるストリートミュージシャンの未来永劫。
 
「じゃあ、何?」
 
降りしきる今日の出来事。

「隣に僕がいるんですから、早く抱きしめなさいって言ってるんですよ!」
 
さよなら太陽、また明日。
 
「わかりづれぇよ…」
 
全部、日常、楽しかったからもう一度!
 
 
End